ひと昔前には無かった物なのですが、これを使って契約書などの重要な書類を作成したり署名した場合の有効性はどうなるのでしょうか？
フリクションボールペンとは
温度変化でインクを無色にする機能を持っているインクを入れたボールペンの事をフリクションボールペンと言えます。
言い換えれば、消せるインクが入っているボールペンと言う事になります。
なぜフリクションボールペンが便利なのか
今まで消せる筆記用具は鉛筆（シャープペンシル）しかありませんでした。
その為、学生などがノートを取る時に使用していたのが、シャープペンシル、蛍光マーカーなどです。
ノートを取る時に色付きのボールペンを使う事もあったのですが、間違った場合は消せないのでノートが汚くなってしまうという欠点がありました。
その為に、今までは鉛筆で書いて色はマーカーで鉛筆の下に色付けをする方法を取っていました。
しかし、この消せるフリクションボールペンが出た事で、ノートを取る場合にも色付きのボールペンが使えるようになったことが最大の利点だと思います。
また、鉛筆でノートを取ると手が汚れたりしますが、フリクションボールペンなら大丈夫です。
間違っても簡単にその部分を消すことが出来るからです。
さらに、消しゴムと違って消しても消しゴムカスが出ないので机の掃除も簡単です。
そしてまた、色んな色を使ってノートを綺麗に仕上げることが出来るのでノートを取るには最適なペンだと思います。
しかし
その超便利なフリクションボールペンは
欠点は無いのでしょうか？
その欠点とは
- 契約書には使えない
- 仕事に使う時には注意が必要
- ボールペンとフリクションボールペンの区別が付かない
１. について考えてみましょう
契約書とはその契約書に書かれている内容について、契約者同士がお互いに納得して合意したことを証した物として作成され、その合意の意味でそれぞれ署名（記名）捺印されるものです。
もしその契約書がフリクションボールペンで書かれていたらどうなるでしょうか？
後から自分に不都合な箇所を勝手に修正されてしまう可能性があります。
ですから契約書の作成には使えないのです。
また、契約書に署名するペンがフリクションボールペンだったらどうでしょうか？
それも同じです、後から署名を消す事が出来るので不都合な事があれば消されてしまう恐れも有るのでフリクションボールペンは使用しては駄目なのです。
（自分が消さなくても第三者が消す可能性もあります）
まあ、厳密に言うと契約書を作成すると契約書は双方が一通づつ保持して保管することになります。
後から、一方が勝手に書き換えたとすれば双方の契約書を比較すればどの部分に修正が加えられたかは調べる事は可能です。
しかし
どちらの契約書が正しいのかは双方の契約書が訂正出来るフリクションボールペンで書かれているわけですから判断は出来ません。
もし、一方が契約が締結された直ぐ後に契約書のコピーを取っていた場合はどうでしょうか？
それなら契約した時の内容がこれだと言うことが出来るかも知れませんが、それでもその契約書が修正前だと言う保証はどこにもありません。
また、もし仮にそのコピーが正解だとしても裁判所では原本でないと証拠として採用してくれませんので、やはりそれを後から有効な契約書だと言う事は出来ないので契約した証拠として成り立ちません。
ですから、契約書には後から修正が可能なフリクションボールペンでは作成出来ないししてはいけないのです。
２. についてはどうでしょうか？
会社では稟議書や先決書・議事録・各種申請書など沢山の書類が存在します。
その書類をフリクションボールペンで作成したらどうなるでしょうか？
現在は基本的にパソコンを使って各種申請書を作成されていますが、書類は持ち回りで回議される場合もあります。
その回議された書類にフリクションボールペンでコメントや指示を出したらどうなるでしょうか？
申請した人間は自分に都合の悪いコメントが書かれていると知って後日勝手に消してしまうかも知れません。
また、間違った指示を出した人がその間違った指示コメントを勝手に消して責任逃れをするかも知れません。
さらに、書類を回議中に第三者や悪意を持った人間が勝手にコメントを消したり修正するかも知れません。
また、数値を勝手に間違った数値に変更するかも知れません。
ですから、疑えばキリがない程イタズラや不正に結びつく可能性があるので消せるペンであるフリクションボールペンは会社では使ってはいけないのです。
３. についてはどうでしょうか？
実際にこんなこともあります。
会社では全て消せない筆記用具で書類を作成しないといけない事は社会人であれば常識となっているはずですが、鉛筆で書類を書いて申請してくる人間も現実に存在しています。
その場合は、どうするのかと言えば、書いてきた書類を見て「何か字が薄いかな？」って思ったら消しゴムで消してみるのです。
そして、もし消えたら注意してボールペンで書くように指導するのです。
でも、このフリクションボールペンの場合は見ただけでは判別が付かないのです。
ですから、仕事でこのフリクションボールペンを使われると大変困ったことになるのです
具体的な事例として
収入印紙を契約書に貼る場合は、収入印紙に印鑑で割印をするか消えないペンで割印をしないといけない事になっています。
もし割印をしなかった場合は、過怠税として貼った印紙のその額を税として徴収されます。
なぜ、割印が必要なのかと言えば
その収入印紙は割印をすることで納税した事になるからです。
ですから、その収入印紙は再利用出来ません。
また、その収入印紙が使われたものかどうかの判断は収入印紙に割印があるかどうかで判断します。
もし、その収入印紙にフリクションボールペンで割印をしたらどうなるでしょうか？
その契約書の有効期限内はそのままにして、契約期限が終了したらその収入印紙を剥がして割印を消して再利用すれば見た目には判断が付かないからです。
このような利用により脱税をすることが可能になります。
多分、今後この手の脱税の手口は出てくると予想されます。
これの対策をするには、フリクションボールペンで書かれている事を簡単に判別できるようにすることが必要となります。
或いは、印紙税法が改正され収入印紙への割印は朱肉での押印に限ると言うことになるかも知れません。
あれば便利なフリクションボールペンですが、使い方を間違えれば犯罪に使われてしまいます。
まとめ
このようにフリクションボールペンは、特にメモやノートを取る時に非常に便利な筆記用具ですが、それは会社などの重要な書類に使用することは認められていません。また、大切な書類（契約書を含む）にもフリクションボールペンは使用してはいけません。
これらは全て自分自身を守るために普通の消えないペンで書いて下さい。
さらに、このフリクションボールペンは使い方によれば詐欺に使用される可能性も有ります。
私としては、その書類が消えないペンで書かれているのか、フリクションボールペンで書かれているのかが簡単に判別出来るような仕組みを今後開発されることをメーカーに期待します。
使い方によれば恐ろしい筆記用具です。
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